旧来の友人たちが就職活動に躍起になっている中、
一年出遅れている僕は、法務関係の職に就きたいと考えるようになった。
(欲を言えば弁護士、さらに言えば大学教員、言うのは自由。)


そもそも、僕はクリエイターやアーティストに憧れていた。
それは今も変わらず、彼らの作品、彼ら自身を尊敬している。
彼らのように、自分で表現し、発信していきたいと考えていた。
いや、今もそうなのかもしれない。
しかし、その道を志すのは、一旦封印することにした。
逃げたのかもしれない。臆病すぎるのかもしれない。


1億総クリエイターと呼ばれる時代。
確かに、誰でもパソコンとネット接続環境さえ整えば、
表現の場はすぐそこに広がっている。それも非常に広大な世界が。
しかしその実情、既得権益、ひいては権利との戦いは避けられない。
知的財産戦略本部の"知的財産推進計画2007"によれば、
著作権親告罪を見直すとの方針が掲げられているが、
著作権非親告罪化は、今まで著作権者が黙認、容認していたものが、
刑事告訴という形で、司法の場にあげられてしまい、
著作権者自身の意思、裁量の入り込む余地がなくなってしまう。
例え、親告罪であることにより、グレーゾーンが生まれたとしても、
それは創造の現場において、必要悪であると信じている。
権利とは誰のためのものなのか。
この他にも、創造の世界のイノベーションを妨げかねない法案や制度が作られつつある。
当然、これはクリエイター自身も考えなければいけない問題であり、
ユーザーも同様に無自覚であってはまずい問題である。
知らないところで、自分の大好きな創造の世界が息苦しい世界になってしまうかもしれないのである。
大げさな言い方をすれば、そんな創造の世界を守って、
さらに、時代に即したより良い環境作りのために寄与したい。
そうして、一旦封印した夢を消化するのかもしれない。